コラム

主体性が無いのは関わり方の問題かも?

Well-being Navi お仕事編

現代は、テクノロジーの進化やグローバル化により、私たちの生活や仕事の環境が急速に変化しています。そのため、個人に求められるものも大きく変わり、「主体性」が重要視されるようになってきました。

 

会社では、ただ指示を待って仕事をこなすだけでなく、自分から問題を見つけて解決しようとする姿勢が求められます。また、学校でも、ただ知識を受け取るだけでなく、自分で考え、行動する力が将来の成功に繋がると考えられています。

 

しかし、このような環境でも、主体性を持って行動するのが難しいという人も多くいます。他人の指示を待つばかりで、自分から行動できない場合、成長の機会を逃しやすくなり、自分の能力を発揮するのが難しくなってしまいます。

 

こうした状況では、自己成長が停滞しやすく、仕事や学業での成果も上がりにくくなります。そこで、主体性の低さがもたらす問題について理解し、それを克服する方法を考えることが、これからの時代にはますます大切になってくるでしょう。

 

主体性が低いことがもたらすデメリット

1. キャリアや学業の停滞

主体性が低いと、与えられた仕事や課題に対して受け身になりがちです。これにより、自分の能力を積極的に高めたり、新しいスキルを習得したりする機会を逃してしまいます。結果的に、キャリアや学業においても停滞し、他者との差が広がる可能性があります。

 

2. 他者依存によるストレスの増加

主体性が欠けると、常に他者の指示を待つようになります。これは、周囲に依存する形になり、指示がないと次の行動が取れず、不安やストレスが増大します。また、指示通りに動くことが習慣化すると、失敗した際に責任転嫁をする傾向が強くなり、自己成長の機会を逃します。

 

3. 自己肯定感の低下

自ら決断し行動を起こすことで、達成感や自己肯定感を得ることができます。しかし、主体性が低い場合、他人の期待や評価に依存してしまい、自分の価値を見失うことがあります。これが続くと、自信を持つことが難しくなり、結果としてさらに消極的な姿勢に陥ってしまう可能性があります。

 

4. クリエイティビティや問題解決力の低下

主体性を持たないと、物事を深く考えることや創造的なアイデアを生み出す力が弱まります。自ら考え、行動する習慣がないと、問題解決においても他者に頼りがちになり、クリエイティビティが発揮されにくくなります。これにより、イノベーションを生む機会を逃すことになります。

 

5. 人間関係の希薄化

主体性が低いと、自分から関係を築く努力を怠りがちです。職場や学校、日常生活においても、他人と積極的に関わることを避けるようになり、人間関係が浅くなることがあります。また、依存的な姿勢は他者にとっても負担となり、結果として信頼関係が築けなくなる恐れがあります。

 

主体性が低いことは、個人の成長や社会生活においてさまざまなデメリットを招きます。自ら考え、行動する力を養うことは、自己実現や成功に向けて不可欠な要素です。まずは小さなことからでも、自分で決断し、責任を持って行動する習慣をつけることが大切です。それにより、自己成長を促し、より豊かな人生を築くことができるでしょう。

 

アドラー心理学の考える主体性を伸ばす関わり方

アドラー心理学の創始者であるアルフレッド・アドラーは、「人間は生まれながらに主体的である」という考え方を提唱しています。これは、人間は受動的に環境や遺伝に左右される存在ではなく、自らの意思や選択によって人生を方向づける力を持っているという考えです。アドラーは、個々人がそれぞれの目標を設定し、それに向かって努力する主体的な存在であると考えました。

 

ですので、人が主体的に行動できていない時というのは、「勇気がくじかれている」状態であるとアドラー心理学では考えます。人が自己の目的に向かって進むためには「勇気」が必要です。その勇気を回復し、人が主体的に問題解決に取り組めるように周りが支援することを「勇気づけ」といいます。

 

具体的な「勇気づけ」の方法を見ていきましょう。

 

1. 貢献や協力に注目する

相手の能力に注目するのではなく、その人のおかげであることに注目してみましょう。褒める言葉ではなく、「あなたのおかげて助かった」「ありがとう」「嬉しい」という言葉を使ってみましょう。人は社会的な生き物です。「社会に貢献している」「自分は人を助けることができる」「自分は人を喜ばせることができる」「なくてはならない存在だ」と思うことは、大きな勇気づけになります。

 

2. 援助を求める、お願いをする

相手に援助を求めるということは、「あなたはそれができる」と思っていないとできません。つまり「できる」と信頼しているということを暗に伝えているのです。そして、それは大きな勇気づけとなります。相手のできるところを探して、援助を求めたり、お願いをしたりしてみましょう。

 

3. 相手に判断をゆだねる

こちらから手を出したり、アドバイスをしたりすることは、2とは逆で、「あなたはできない」ということを裏メッセージとして送ってしまいます。相手から助けを求められていないのに、手を出すことは相手の能力を信頼していないことになります。そして相手に判断をゆだねることは、相手の能力を信頼していることになり勇気づけになります。アドバイスではなく、情報提供をして、最終判断は「あなたはどう思うの?」と相手に決断を委ねてみましょう。

 

アドラーは幸せの条件に、「他者に貢献できていること」をあげています。職場での貢献感が高まることは、その人のWell-beingに直結しています。「ありがとう、助かった」という言葉がけ一つで、仕事でのWell-beingを高めることができるのです。